日常生活活動（activities of daily living:ADL）のうち、整容、入浴、食事、排泄、階段昇降、更衣、排尿管理、排便管理、移乗、移動の10項目で構成されるBarthel Index（BI）*1 が知られている。いくつかあるBI改変版のなかで、Shah, et al.によるMBI *2 は、BI各項目を5段階で評価し、脳卒中患者を対象に変化の捉えやすさと信頼性が検証されている。
元来、BIやMBIはADL能力を測定する評価指標であったが、日本の高齢者ケアの場を想定して日本の習慣（箸の使用、浴槽につかること、等）を追記し、様々な職種が広く評価しやすいようADL遂行状況を評価することを目的に翻訳を行った。日本語に翻訳したPerformance evaluation tool based on the modified Barthel Index （PET-MBI）日本語版は、英語に逆翻訳した版をMBI原版の作成者であるShahによって確認手続きを得た。 *3
高齢者施設内では、階段昇降のように「全くできない」場合においても、「行う必要がない」ことをケアチーム内で伝達しやすいよう、同じ配点でありながら区別した採点項目を設定した。また、点数には反映されないが、ケアの統一を図ることができるように手すりの有無等の環境要因について記載できるチェックボックスを追加した。さらに、臨床場面における使用の利便性を考慮し、詳細なマニュアルを用いなくても評価できるよう紙面を工夫した。これにより、対象者のADLを得点化するだけでなく、ケアチーム内もしくはケアチーム間における対象者のADL遂行状況の共有が促進されることが期待される。
PET-MBI 日本語版は、介護老人保健施設に入所する高齢者における信頼性、妥当性、内的整合性 *3、および在宅要介護高齢者における妥当性、内的整合性 *4 が検証されている。
Shah, et al.のMBI *2 に基づいて作成されたPET-MBI日本語版 *3 であることを明記し、引用源を記載いただければ、ご自由に使用いただいて構いません。ご使用にあたってご不明な点などがございましたら、ご連絡ください。
*1 Mahoney FI, Barthel DW. Functional evaluation: the Barthel Index. Md State Med J. 1965;14:61-5.
*2 Shah S, Vanclay F, Cooper B. Improving the sensitivity of the Barthel Index for stroke rehabilitation. J Clin Epidemiol. 1989;42:703-9.
*3 Ohura T, Ishizaki T, Higashi T, et al. Reliability and validity tests of an evaluation tool based on the modified Barthel Index. Int J Ther Rehabil. 2011;18:422-8.
*4 Ohura T, Higashi T, Ishizaki T, Nakayama T. Assessment of the validity and internal consistency of a performance evaluation tool based on the modified Barthel Index Japanese version for elderly people living at home. J Phys Ther Sci. 2014;26:1971-4.
《連絡先》
大浦 智子 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻 博士後期課程修了
所属：星城大学リハビリテーション学部（2017年3月時点）
e-mail：oh-ura「あ」umin.ac.jp（「あ」を@に変換してください）